はじめに ~当ページの主旨~

当ページは安全配慮義務違反(健康配慮義務違反)、労働安全衛生法違反などにより諸法に従って行われる行政処分、刑事処分、民事処分について述べたものです。

労災隠し、(労災発生後の)諸法違反履歴の抹消方法、異議申し立ての手段などは説明していません 。

法令に従い収益をあげることで社会に貢献する立場にある事業においては事業の継続こそが重要であり、経営努力の過程で起きた労災が必ずしも「悪」であるとは考えません。

労災を回避するために、また、万一労災が起きてしまった際の経営ダメージを最小限に抑えるために役立つ情報の発信を目指し、事業継続に貢献する事を意図しています。

 

 

労災にまつわる3つの責任と処分について

社会的責任 ⇒ 営業停止/廃止命令

 
刑事責任 ⇒ 罰金、書類送検、逮捕


民事責任 ⇒ 金銭賠償

 

 

労災と使用者

法人事業の使用者 → 当該法人 (※法人代表者ではない)

個人事業の使用者 → 事業主

 

使用者は、労働者の 1.選任 2.管理 について権限を持ち、権限を行使するにあたって労働者の身体(健康)配慮を担保しています。(会社法、労働安全衛生法)

 

労災は災害の発生に業務起因性と業務遂行性が認められるものを言います。つまり理屈の上では労災はもれなく身体(健康)配慮について債務不履行に該当します。

 

そのため労災が発生すると、使用者は社会的責任刑事責任民事責任それぞれについて過失(責任)の有無を明らかにして行くことになります。

労災事故の挙証責任(過失なしを客観的に証明する責任)は使用者にあります。(※)

 

(※)民法709条の不法行為責任を立証して加害者から弁済を受けるためには、被害者が自身の被った損害の大きさ、原因、過失割合について妥当性と正当性を客観的に証明しなければなりません。不法行為責任の挙証責任は”被害者”にあるのです。(立証出来なければ、いわゆる”泣き寝入り”となります。)

ただし例外はあります。特別法という条文によって取扱われるケースがそれにあたり、自動車の運行に起因する人身事故、労災事故は、自賠法、労安法という、それぞれ特別法が存在し、挙証責任を加害者に求めています。”挙証責任は加害者”を言い換えるならば、加害者の抗弁がなければ弁済に応じるとみなす、

ということです。

 

さて、すでに労災認定がなされている事故について、使用者がすべての責任について無責を証明することは理論上不可能です。

 

労災にまつわる処分が経営に与えるダメージ、対策の重要性について、是非正しくご認識ください。